花粉症
花粉症は、植物の花粉が原因で起こるアレルギー性疾患です。主に鼻や目の粘膜に症状が現れ、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどを引き起こします。日本では1960年代から報告が増え、現在では国民の約40%以上が花粉症を有していると推定されています。
当院では、内服薬や点鼻薬などの対症療法はもちろん、日常生活のアドバイスまで含めて、花粉症のケアを行っております。
花粉の種類と頻度
花粉症の原因は「花粉」と、それに対する体の「アレルギー反応」です。花粉症の原因となる花粉(起炎花粉)は、地域や季節によって異なります。日本で報告されている原因花粉は50種類以上あり、代表的なものは以下の通りです:
花粉の種類 |
主な植物 |
飛散時期 |
特徴 |
---|---|---|---|
スギ |
スギ |
2月〜4月 |
日本全国に分布。患者の約70%がスギ花粉症 |
ヒノキ |
ヒノキ |
3月〜5月 |
スギとほぼ同時期に飛散。西日本に多い |
イネ科 |
カモガヤ、オオアワガエリなど |
5月〜9月 |
初夏から秋にかけて長期間飛散 |
キク科 |
ブタクサ、ヨモギなど |
8月〜10月 |
秋の花粉症の原因。都市部にも多い |
カバノキ科 |
シラカンバ、ハンノキなど |
春〜初夏 |
北海道や高地に多い。果物アレルギーと関連あり |
地域によっては、スギ・ヒノキ以外の花粉症も増加傾向にあり、複数の花粉に感作されている方も少なくありません。人によって反応する花粉の種類や飛散時期が異なります。このように春だけでなく、秋にも花粉症は起こります。「年中ずっと鼻炎が続いている」という方は、ハウスダストやダニなど通年性アレルギーの可能性もあります。
花粉症の主な症状
花粉症の症状は、鼻・目・喉・皮膚など複数の部位に現れます。代表的な症状は以下の通りです:
- 鼻:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 目:かゆみ、充血、涙目
- 喉:違和感、咳、声のかすれ
- 皮膚:かゆみ、湿疹(特に顔面)
- その他:倦怠感、集中力低下、睡眠障害
症状の程度は個人差があり、日常生活や仕事・学業に支障をきたすこともあります。また、花粉症の方は喘息やアトピー性皮膚炎の悪化を伴うこともあるため、早めの対策が重要です。
花粉症によって引き起こされる病気
花粉症そのものは命に関わる病気ではありませんが、以下のような症状や疾患と関連しています。
-
アレルギー性鼻炎(季節性)
-
アレルギー性結膜炎(目のかゆみ・充血)
-
副鼻腔炎(蓄膿症)を合併しやすくなる
-
睡眠障害(鼻づまりによる)
-
集中力の低下や仕事・学業のパフォーマンス低下
慢性的な鼻炎が持続することで気管支喘息や皮膚トラブルが出てきたり、悪化することもあります。
花粉症の処置や治療法
症状を和らげる対症療法と、体質改善を目指す根治療法に分けられます。
対症療法
- 内服薬:抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬など
- 点鼻薬・点眼薬:鼻づまりには点鼻薬、目のかゆみには点眼薬など
- ステロイド薬:中等症以上に使用(点鼻・点眼)
- 手術療法:鼻粘膜焼灼術(重症例)※耳鼻科専門医師での対応が必要
根治療法
- 抗原回避:花粉情報を活用し、飛散時期の外出を控える
- 減感作療法(アレルゲン免疫療法):スギ花粉などの抽出液を少量ずつ投与し、体質改善を図る。注射または舌下錠による方法があり、2年以上の継続が推奨されます。(※耳鼻科やアレルギー専門医師での対応が必要)
予防的治療(初期療法)
-
花粉が飛び始める1〜2週間前から薬を開始することで、症状の悪化を抑えることができます。毎年強い症状が出る方にはとても有効です
アレルゲン検査(血液検査)
何の花粉に反応しているかを調べることで、対策が立てやすくなります。一度調べておくと、今後の花粉シーズンにも役立ちます
生活上の対策アドバイス
- マスク・メガネの着用(花粉の侵入を約1/4〜1/6に減少)
- 花粉の多い時間帯(昼前後・夕方)の外出を避ける
- 花粉の飛散情報をチェックして外出計画を立てる
- 帰宅後の洗顔・うがい・衣類の花粉除去
- 室内の換気・掃除の工夫(レースカーテンや空気清浄機の活用)
- 睡眠・食生活・ストレス管理による免疫力維持
医師と相談しながら薬と生活対策をうまく組み合わせることで、花粉症による症状を軽減できる可能性が高まります。
花粉症についてのよくある質問
Q1. 花粉症は何科を受診すればいいですか?
A1. 内科または耳鼻科で対応可能です。当院では花粉症の診察・治療にも対応しております。重症例や手術希望がある際は耳鼻科専門医への紹介を行います。
Q2. 子どもでも花粉症になりますか?
A2. 最近では小学生や未就学児でも発症するケースが増えています。症状に応じた薬の調整も可能ですのでご相談ください。
Q3. 毎年症状がひどくなっている気がします。
A3. 繰り返すことで体の反応が強くなってしまう方もいます。予防的な治療を早めに開始することで、年々軽く済ませることができます。
Q4. アレルゲン検査は何歳からできますか?
A4. 通常は小学生以降で可能です。
最後に
花粉症は「季節が過ぎれば治まるから…」と我慢される方が多いのですが、実はしっかり治療を行えば、症状をかなり軽減することができます。特に、毎年つらい症状に悩まされている方には、早めの予防的治療がとても有効です。
当院では、症状やご希望に応じて、なるべく生活に支障のない形での治療を一緒に考えています。「薬を飲むと眠くなるのが困る」「仕事中に鼻が止まらなくてつらい」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。