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腹部大動脈瘤

「お腹の血管がこぶのように膨らんでいると言われた」
「健診の腹部エコーで『動脈瘤の疑い』と指摘された」──

このようなことを言われた方は、**腹部大動脈瘤(AAA)**である可能性があります。

腹部大動脈瘤とは、お腹の中を通る大きな動脈(腹部大動脈)がこぶのように膨らんだ状態です。
破裂してしまうと、命に関わる危険性のある病気です。

当院では、腹部エコーやCT結果をもとに、瘤の大きさや破裂リスクを慎重に評価し、循環器専門医が早期の治療判断や経過観察を行っています。

腹部大動脈瘤の原因について

腹部大動脈瘤の主な原因は、動脈硬化による血管の劣化・脆弱化です。
その他にもいくつかの要因があります。

【代表的な原因】

  • 高血圧(血管にかかる圧力が増える)

  • 喫煙歴(動脈瘤との関連性が高い)

  • 高齢(70歳以上に多い)

  • 男性(女性に比べてリスクが高い)

  • 家族歴(遺伝的要因)

  • 高脂血症や糖尿病

  • マルファン症候群などの結合組織疾患

また、過去に大動脈解離を起こした方や、心血管疾患をお持ちの方にも注意が必要です。

腹部大動脈瘤の症状について

腹部大動脈瘤の特徴は、ほとんどの場合で無症状であるという点です。

【主な症状(症状が出る場合)】

  • お腹の拍動(どくどくする感覚)

  • 腹部や腰、背中の重い痛み・違和感

  • お腹を触ったときにしこりのようなものがある

破裂直前や破裂時には以下のような症状が出ます。

  • 突然の激しい腹痛や背中の痛み

  • 吐き気・冷や汗・失神・血圧低下

破裂してしまうと致命的になることが多いため、事前に見つけて管理することが非常に大切です。

腹部大動脈瘤の種類と分類

瘤の形や位置によっていくつかに分類されます。

種類 特徴
紡錘状瘤 全体がなだらかに拡大した形(多いタイプ)
嚢状瘤 一部だけが突出するタイプ(破裂しやすい)
腎動脈より上/下に位置するか 手術方法やリスクの判断に関わる

また、瘤の大きさ(径)が重要な判断基準になります。
一般的に、4cm未満では経過観察、5cmを超えると手術が検討されます。

腹部大動脈瘤の治療法について

腹部大動脈瘤の治療は、「破裂しないうちに対処する」ことが最も大切です。

経過観察(瘤が小さい場合)

  • 腹部エコーまたはCTで定期的にモニタリング

  • 高血圧や脂質異常症の管理

  • 禁煙指導・生活習慣の改善

※定期的なチェックの頻度は、瘤のサイズによって半年~1年ごとに設定します。

外科的治療(瘤が大きい・急速に拡大する場合)

  • 人工血管置換術(開腹手術)

  • ステントグラフト内挿術(EVAR)
     → 足の付け根からカテーテルを挿入し、血管内から人工血管で補強する方法。身体への負担が少ないのが特徴です。

当院では、大動脈瘤の評価を行ったうえで、必要時には専門の心臓血管外科・血管内治療施設と連携し、患者さまの状態に適した治療をご案内します。

腹部大動脈瘤についてのよくある質問

Q1. 腹部大動脈瘤はどうやって見つかるのですか?
A1. 健診の腹部エコーやCT検査で偶然見つかることが多いです。当院でもエコーによるスクリーニングが可能です。

Q2. 見つかったらすぐに手術になりますか?
A2. 多くの場合は経過観察となります。瘤が大きくなったり、形状や増大スピードによって治療を検討します。

Q3. お腹の痛みがないのに治療が必要ですか?
A3. 症状がなくても破裂する危険性はあります。特に5cm以上になると注意が必要です。

Q4. 手術をしなくても大丈夫な場合は何をすればいいですか?
A4. 血圧やコレステロールの管理、禁煙、定期的な画像検査が重要です。当院では内科的な管理とアドバイスを行っています。

院長より

腹部大動脈瘤は、見つかった時点で破裂リスクに備えた管理が必要となる病気です。
放置して破裂してしまうと命に関わることもありますが、早期に見つけてしっかり経過をみていくことで、手術をせずに過ごせる方も多いのが特徴です。

当院では、循環器専門医が腹部エコーやCTの画像を用いて、的確な診断と経過観察を行い、必要な際は速やかに専門病院と連携いたします。

「健診で指摘を受けた」「なんとなくお腹に違和感がある」という方も、ぜひ一度ご相談ください。

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