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膀胱炎

膀胱炎(ぼうこうえん)は、尿をためておく「膀胱」の粘膜に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。特に女性に多く見られる尿路感染症の一つです。風邪をひいたあとや疲れているとき、生理前後やデリケートゾーンが不衛生になりがちな時期に起こりやすくなります。性的活動期の女性や閉経後にも発症しやすくなる傾向があります。膀胱炎は上行性に感染が波及し腎盂腎炎を引き起こす可能性もあるので、頻尿や残尿感などがある際はお気軽にご相談ください。

膀胱炎の原因

膀胱炎の主な原因は、大腸菌などの細菌が尿道を通って膀胱まで入り込み、感染を起こすことです。以下のような要因がリスクとなります。

  • 女性(尿道が短く、肛門に近いため)

  • トイレを我慢しがち

  • 睡眠不足やストレス、風邪などで免疫力が低下している

  • 生理前後や性交渉の後

  • 糖尿病や閉経後など、体質変化がある場合

繰り返し膀胱炎になる方では、生活習慣の見直しが予防につながります。

起炎菌の頻度と特徴

膀胱炎の原因菌は、ほとんどが腸内細菌(一部皮膚常在菌)です。
以下のような菌が頻繁に検出されます。

起炎菌

頻度の目安

備考

Escherichia coli(大腸菌)

約60〜80%

最も多い原因菌

Staphylococcus saprophyticus

約5〜10%

性的活動期の女性に多い

Klebsiella属、Proteus属

数%

グラム陰性桿菌

Enterococcus属、Streptococcus属

数%

グラム陽性球菌

近年では、ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌などの耐性菌の検出頻度も増加しており、抗菌薬の選択に注意が必要です。

膀胱炎の主な症状

膀胱炎の典型的な症状は以下の通りです。

  • 頻尿:排尿回数が増える
  • 排尿時痛:排尿時にしみるような痛み
  • 残尿感:排尿後も尿が残っているような感覚
  • 尿混濁・血尿:尿が白く濁ったり、血が混じることも
  • 下腹部不快感:膀胱周辺の違和感や鈍痛

通常、発熱は伴わないことが多いですが、腎盂腎炎など上部尿路感染に進行すると高熱や腰痛が出現することがあります。

膀胱炎の診断

膀胱炎の診断には症状の問診と尿検査を行います。

  • 尿中の白血球・赤血球・細菌の有無を確認し、細菌感染の有無を判断します。

  • 必要に応じて、尿培養検査を行い、抗菌薬の効き目を確かめます。

治療法と注意点

膀胱炎は、適切な抗菌薬の内服により短期間で改善することが多い疾患です。

治療の基本

  • 抗菌薬の選択は、尿検査や尿培養の結果に基づいて行います。
  • 多くの場合は3‐5日間の抗生剤投与で改善を認めます。

再発予防と生活指導

  • 水分をしっかり摂る
  • 排尿を我慢しない
  • 性交後の排尿を心がける
  • 陰部を清潔に保つ
  • 冷えを避ける

再発を繰り返す場合は、尿路の構造的異常や基礎疾患の有無を調べる検査が必要なこともあります。

膀胱炎によって引き起こされる病気

膀胱炎は、通常は軽い病気で済みますが、放置すると以下のような合併症につながることがあります:

  • 腎盂腎炎
     感染が腎臓まで広がると、高熱や腰痛を伴い、入院治療が必要になることもあります。

  • 慢性膀胱炎
     繰り返し発症することで、膀胱に炎症が続いてしまい、常にトイレが近くなったり、残尿感が残ることがあります。

  • 間質性膀胱炎
     膀胱の粘膜が過敏になり、慢性的な痛みを引き起こすこともあります。

膀胱炎についてのよくある質問

Q1. 膀胱炎は自然に治りますか?
A1. 軽症であっても、抗菌薬なしでは治りにくく、再発や悪化のリスクがあります。きちんと治療することが大切です。

Q2. 男性も膀胱炎になりますか?
A2. 女性に比べて少ないですが、尿路の異常や前立腺肥大などがある場合は男性でも膀胱炎になることがあります。

Q3. 生理中でも診察は受けられますか?
A3. 生理中でも診察やお薬の処方は可能です。尿検査は正確性が下がる場合もありますが、問診と症状から診断することも可能です。

最後に

膀胱炎は、放っておくと悪化しやすい疾患のひとつです。「トイレが近い」「排尿時にしみる」など、普段と違う症状があるときには、早めに受診していただくことで、数日以内にスッキリ治るケースがほとんどです。どうぞお気軽にご相談ください。再発を繰り返し、泌尿器科への受診が必要な場合は適宜専門の医療機関に紹介しております。

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