メニュー

糖尿病

糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度が基準を超えて高い状態が続く病気です。糖尿病は、自覚症状が少ないことから「サイレントキラー」とも呼ばれ、定期的な検診と適切な治療管理がとても大切です。ここでは、ガイドラインや疫学データをもとに糖尿病について解説します。


糖尿病とは?

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖値)のコントロールがうまくいかなくなり、さまざまな合併症を引き起こす可能性のある疾患です。学会ガイドラインによれば、正常な血糖値の管理ができなければ、心臓病、脳卒中、腎障害、網膜症など深刻な合併症へと進行することがあるため、早期発見と適切な治療が求められています。国内においては、約1000万人以上が糖尿病あるいは糖尿病予備群とされており、特に高齢化の進行に伴い、患者数は年々増加しています。定期検診による早期の発見と、生活習慣の見直しが重要です。


1. 糖尿病の種類

糖尿病は大きく「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分かれます。
1型糖尿病は、自己免疫反応により膵臓のインスリン産生細胞が破壊され、若年層に多く発症します。一生涯にわたるインスリン補充療法が必要な病態です。
2型糖尿病は、主に生活習慣や遺伝的背景、加齢などが関係し、高齢者や中高年層に多く見られます。国内では、糖尿病患者の約9割が2型であり、肥満や運動不足、食事の偏りなど生活習慣が強く影響しています。

最新の疫学データによると、成人の約10~15%が糖尿病あるいは糖尿病予備群に該当するとされ、また毎年数多くの新規患者が報告されています。男女差はあるものの、社会全体での健康問題として認識され、国や自治体、医療機関が啓発活動や検診の充実に力を入れています。糖尿病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、初期段階では自覚症状が乏しいため、定期的な血液検査が重要とされています。


2. 糖尿病の原因となる生活習慣

糖尿病の発症には、複数の要因が絡み合っています。
要因としては、主に以下の点が挙げられています。

【生活習慣の乱れ】

過剰なカロリー摂取と偏った食事
糖質・脂質の多い食品、甘い飲料の過剰摂取が続くことで、肥満や内臓脂肪の蓄積につながります。これがインスリンの働きを低下させ、2型糖尿病のリスクを高めます。
運動不足
体を動かさない生活は、インスリン抵抗性を悪化させる原因となります。日常的なウォーキングや適度な運動は、血糖値のコントロールに寄与します。

【遺伝的背景と家族歴】

遺伝要因
家族に糖尿病患者がいる場合、同じ遺伝子により糖尿病の発症リスクが高まる傾向があります。とはいえ、遺伝だけでなく、日々の生活習慣が大きな影響を及ぼすため、リスク管理は可能です。

【その他の環境要因】

加齢
年齢が上がるにつれて、インスリン分泌やその作用が低下しやすくなり、糖尿病を引き起こす一因となります。
ストレスや睡眠不足
慢性的なストレス状態や不十分な睡眠も、ホルモンバランスを乱し、血糖値のコントロールが難しくなる原因となります。

これらのリスク要因は、個人差があるため、生活習慣の見直しとともに、専門医による個別のリスク評価が大切です。


3. 糖尿病による合併症

糖尿病は、多岐にわたる合併症を引き起こします。
代表的なものとして、以下の4つがあります。

【心血管疾患】

長期にわたる高血糖状態は、動脈硬化を進行させ、冠動脈疾患や脳卒中などの心血管イベントのリスクを大幅に高めます。日本糖尿病学会の資料では、糖尿病患者は心血管疾患による死亡リスクが2~3倍に増加するとされています。

【腎障害(糖尿病性腎症)】

高血糖は、腎臓内の微小血管にダメージを与え、腎機能の低下を招きます。進行すると、透析治療が必要となる場合もあり、腎臓病は糖尿病の重大な合併症のひとつです。

【眼の疾患(糖尿病性網膜症)】

網膜の微細な血管に炎症や出血が生じ、視力低下や失明のリスクがあります。定期的な眼科検診で早期発見・治療することが肝心です。

【神経障害(糖尿病性末梢神経障害)】

末梢神経が障害されると、手足のしびれや痛み、歩行障害が生じ、生活の質が大きく低下します。これらの合併症は、糖尿病のコントロール状態によって発症リスクが変動するため、厳密な血糖管理が求められます。

糖尿病の合併症は一度進行すると元に戻すことが難しいため、早期発見と予防対策が重要です。定期検診を通じて、合併症のリスクを低減する取り組みが必要です。


4. 糖尿病の治療

糖尿病治療は、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせた「総合的な治療」が基本です。学会のガイドラインでは、以下のポイントが強調されています。

【薬物療法】

経口血糖降下薬
初期の2型糖尿病の場合、メトホルミンやDPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬などを用いて血糖値の正常化を図ります。患者様の状態や併存疾患に応じた適切な薬剤選択が必要です。
インスリン療法
インスリン分泌が極度に低下している場合や、血糖コントロールが困難な場合には、インスリン注射療法が導入されます。治療方法は患者様ごとに個別に決定されます。

【栄養管理】

食事療法の徹底
バランスの良い食事、適正なカロリー摂取、糖質や脂質の質の見直しが重要です。低GI食品を中心とした食事や、適度な食塩・油分の制限が推奨されます。栄養士による個別指導を通して、無理なく続けられる食生活の改善が求められます。

【適度な運動】

有酸素運動や筋力トレーニング
ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、週に150分程度の有酸素運動は、インスリン抵抗性の改善、体重管理に大いに役立ちます。無理のない運動習慣の確立は、治療効果の向上につながります。

【自己管理と定期検診】

血糖自己測定や定期検査
血糖値やHbA1cの自己管理、定期的な医療機関での検査は、治療の進捗確認と合併症の早期発見に欠かせません。医師や看護師、栄養士と連携しながら、自己管理能力を高めることが重要です。
ストレス管理と十分な睡眠
慢性的なストレスや睡眠不足はホルモンバランスを乱し、血糖値に影響を与えるため、リラックス法や規則正しい生活リズムの確立も治療の一環と考えられています。

当クリニックでは、最新の学会ガイドラインに基づいた治療方針を採用するとともに、患者様一人ひとりの状況や生活習慣に合わせた個別のサポートを行っております。糖尿病は、適切な治療と自己管理により、症状の進行を防ぎ合併症のリスクを低減することが可能な病気です。治療の目標は、血糖値を目標範囲内に維持し、健康な生活を送ることにあります。


糖尿病は、進行するとさまざまな臓器に負担をかける深刻な疾患ですが、早期の対策と日々の生活改善により、合併症の予防や症状の改善が十分可能です。症状などに疑問や不安がある場合は、お気軽に当クリニックへご相談ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME