「朝起きても疲れが取れない」「日中眠くて仕事に集中できない」「家族にいびきや呼吸が止まっていると言われた」──このような悩みがある方は、**睡眠時無呼吸症候群（SAS）**かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまう病気です。特に多いのは、のどの奥が狭くなることで空気の通り道がふさがってしまう閉塞型で、肥満やあごの形、舌の大きさなどが関係しています。

この病気を放っておくと、高血圧や不整脈、心不全、糖尿病、脳卒中などのリスクが高くなることがわかっています。当院では、簡易検査によるスクリーニングから治療方針のご提案、CPAP（シーパップ）治療の継続管理まで対応しています。

睡眠時無呼吸症候群の原因について

睡眠時無呼吸症候群の主な原因は以下の通りです。

閉塞型（OSA）

• 肥満による気道の圧迫

• あごが小さい・舌が大きい・首が太いなど、構造的な問題

• 加齢による筋力の低下

• 飲酒や睡眠薬の影響（のどの筋肉がゆるむ）

※睡眠時無呼吸症候群の9割以上がこのタイプです。

中枢型（CSA）

• 脳から呼吸指令が出なくなるタイプ

• 心不全や脳梗塞の後遺症で見られることがあります

• 当院では、循環器疾患の背景も考慮して検査・評価を行います

睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされる病気

呼吸が止まることで、血液中の酸素が低下し、交感神経が活性化して心臓や血管に強い負担がかかります。その結果、以下のような病気と関係することがわかっています。

• 高血圧（特に早朝高血圧）

• 心房細動などの不整脈

• 心不全・脳梗塞・狭心症

• 2型糖尿病・脂質異常症

• 日中の眠気による交通事故・労働災害

• 認知機能の低下・うつ状態

※特に心不全や不整脈をお持ちの方には、SASの評価が非常に重要です。

睡眠時無呼吸症候群の処置や治療法

治療の基本は、正確な診断と生活習慣の改善・装置による治療です。

1. 診断の流れ

• 問診・スクリーニング検査（簡易検査）
  　ご自宅で就寝時に機器を装着していただき、呼吸・いびき・血中酸素などを計測します。

• 精密検査（PSG）
  　より詳細な検査が必要な場合は、連携施設にて一泊入院で行う精密検査をご案内します。

※検査結果により「無呼吸低呼吸指数（AHI）」が測定され、治療適応が決まります。

2. 生活習慣の改善

• 減量（5～10％の体重減で症状が改善するケースあり）

• 飲酒の制限（特に就寝前）

• 仰向け寝の回避（横向きで寝ると改善することがあります）

3. CPAP療法（持続陽圧呼吸療法）

• 専用の装置から空気を送り込み、のどの閉塞を防ぐ治療です

• 毎晩使用することで、いびき・呼吸停止が改善し、日中の眠気が大幅に軽減

• 高血圧や不整脈の改善効果も報告されています

当院では、CPAP導入後も定期的に使用状況や体調の変化を確認し、在宅で安心して治療を継続できるようサポートしています。

4. マウスピース治療

• 軽症の方には歯科で作成するマウスピースも有効です

• 顎を前に出して気道を広げる構造です

睡眠時無呼吸症候群についてのよくある質問

Q1. いびきがあるだけでも検査を受けた方がいいですか？
A1. はい、いびきの背景に睡眠時無呼吸が隠れていることがあります。特に日中の眠気がある方は要注意です。

Q2. CPAPは毎日使わないといけませんか？
A2. 毎晩使用することで効果を発揮します。症状が改善しても装着の継続が必要です。

Q3. 太っていないのにSASになることはありますか？
A3. はい、あごが小さい・舌が大きいなど体格の特徴でも発症します。痩せ型の方でも安心はできません。

Q4. 睡眠時無呼吸は治りますか？
A4. 生活習慣の改善や適切な装置治療で、多くの方が症状をコントロールできるようになります。ただし、治療の継続が重要です。

院長より

睡眠時無呼吸症候群は、いびきだけの問題ではありません。見過ごされやすい病気ですが、放っておくと高血圧や心臓病、脳梗塞など、命に関わるリスクを高めてしまいます。

当院では、循環器の視点からSASの早期発見と治療に力を入れています。自宅でできる簡易検査にも対応しておりますので、「もしかして？」と思ったら、どうぞお気軽にご相談ください。