大動脈弁狭窄症
「動くと息切れがする」「胸が締めつけられるように痛む」「ふらついて倒れそうになる」──このような症状がある方は、大動脈弁狭窄症という心臓の出口にある弁の病気の可能性があります。
大動脈弁狭窄症は、心臓の左心室から血液が全身に流れ出る“出口”である大動脈弁が硬く狭くなる病気です。出口が狭くなることで、心臓は全身に血液を送り出すためにより強い力が必要となり、心臓に大きな負担がかかる状態となります。重症化すると、突然の失神や心不全、命に関わるリスクもあるため、早期発見と適切な治療が大切です。
当院では、循環器専門医として、心エコーによる正確な診断と、必要な方には高度医療機関と連携した治療のご提案を行っております。
大動脈弁狭窄症の症状について
症状は、病気の進行とともに徐々に現れてきます。初期には自覚症状がほとんどないこともありますが、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
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動いたときの息切れ(坂道や階段で感じやすい)
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胸の痛みや圧迫感(狭心症に似た症状)
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めまいやふらつき、失神
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動悸
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足のむくみ
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疲れやすさ(全身への血流不足による)
特に高齢の方で「以前より動けなくなった」「立ちくらみが増えた」と感じる場合は、心臓の出口が狭くなって血液がうまく流れていない可能性があります。
大動脈弁狭窄症の原因について
大動脈弁狭窄症の原因には、以下のようなものがあります。
加齢による弁の石灰化(変性)
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最も多い原因です。加齢に伴って弁にカルシウムがたまり、開きが悪くなります。
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70代以降の高齢者に多く見られます。
先天性二尖弁(弁の形が通常と異なる)
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通常、大動脈弁は三枚の弁から成りますが、生まれつき二枚しかない人がいます。
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若年で症状が出ることもあります。
リウマチ熱などによる後遺症
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現代の日本では稀になりましたが、リウマチ熱の既往によって弁が傷つき、狭窄が起こることがあります。
大動脈弁狭窄症の病気の種類について
病状の重さにより、大動脈弁狭窄症は以下のように分類されます。
| 重症度 | 特徴 |
|---|---|
| 軽度 | 弁の動きがやや悪いが、症状はなし |
| 中等度 | 息切れや疲れやすさが出てくる |
| 高度(重症) | 日常生活でも息切れ・胸痛・失神がある。手術適応が検討される |
弁の開き具合(弁口面積)や血液の流れの速度(血流速度)を心エコーで詳しく測定し、重症度を判断します。
大動脈弁狭窄症の治療法について
治療は、重症度と患者さんの年齢・全身状態を総合的に見ながら進めていきます。
1. 検査と経過観察(軽症〜中等度)
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心エコーで定期的に弁の動きと血流を確認
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血液検査(BNP)や心電図などで心機能の把握
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症状がなければ経過観察と生活管理で様子をみます
2. 薬物治療
大動脈弁狭窄そのものを薬で治すことはできませんが、心不全や不整脈のコントロールのために以下の薬を使用することがあります。
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利尿薬(肺うっ血やむくみの軽減)
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降圧薬・β遮断薬(心臓の負担を軽減)
※重症例では、薬の使い方にも注意が必要なため、専門医による慎重な調整が必要です。
3. 外科的・カテーテル的治療(重症例)
以下のような治療法があり、状態に応じて適応を判断します。
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外科的弁置換術(SAVR)
人工弁に入れ替える開胸手術。耐久性のある機械弁や生体弁を使用します。 -
カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)
胸を開けずにカテーテルで人工弁を挿入する治療。高齢者や手術リスクの高い方に適応されます。
当院では、これらの治療が必要な患者さんには、連携先の高度医療機関にスムーズにご紹介いたします。
大動脈弁狭窄症についてのよくある質問
Q1. 心雑音があると言われました。大動脈弁狭窄症の可能性はありますか?
A1. 可能性はあります。心雑音は弁膜症のサインであることが多いため、心エコー検査で確認することをおすすめします。
Q2. 運動すると胸が苦しいですが、加齢のせいでしょうか?
A2. 年齢のせいと思いがちですが、大動脈弁の狭窄によって全身に血液が届きにくくなっている可能性があります。
Q3. 弁の手術は怖いのですが、カテーテルで治せますか?
A3. 最近ではTAVI(経カテーテル弁置換術)という低侵襲な治療も選択肢として広がっています。年齢や心機能に応じて最適な治療をご案内します。
Q4. 薬だけで治せますか?
A4. 薬では弁そのものを元に戻すことはできません。症状や進行度に応じて外科的・カテーテル的治療が必要となる場合があります。
院長より
大動脈弁狭窄症は、年齢とともに増えてくる心臓の出口の病気です。初期は無症状でも、進行すると心不全や失神、突然死のリスクも伴います。
私たちゆうひ内科循環器クリニックでは、心エコーを用いた正確な診断と、患者さまに合わせた丁寧な治療方針のご提案を行っています。高度な治療が必要な方には、連携先病院と密に連携し、安心して次のステップに進めるようにお手伝いしています。
健診で心雑音を指摘された方、年齢とともに運動時の息切れや胸の不快感を感じる方は、ぜひ一度ご相談ください。
