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副鼻腔炎

「鼻づまりが続いている」「鼻の奥にいつも何かたまっている感じがする」「のどに鼻水が流れて気持ち悪い」──そんな症状がある場合は、副鼻腔炎の可能性があります。副鼻腔炎は、鼻の周りにある空洞(副鼻腔)に炎症が起こり、膿や鼻水がたまる病気です。風邪やアレルギーのあとに発症することも多く、慢性化すると蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれます。

副鼻腔炎の原因

副鼻腔炎には発症から4週間以内のものを「急性副鼻腔炎」と定義し、それ以上続く場合は慢性副鼻腔炎と区別されます。

急性副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔(上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞)に炎症が起こる病気で、風邪(急性鼻炎)に続いて発症することが多いです。日本では耳鼻咽喉科だけでなく、内科や小児科でも頻繁に診断される疾患であり、年間を通じて多くの患者さんが受診しています

副鼻腔炎は、以下のような要因で発症します:

  • 風邪などのウイルス感染による鼻粘膜の腫れ
  • 鼻腔と副鼻腔の通り道(自然口)の閉塞
  • 鼻中隔弯曲やアレルギー性鼻炎などの解剖学的・体質的要因
  • 歯の感染(歯性副鼻腔炎)

花粉症やアレルギー性鼻炎のある方は副鼻腔炎になりやすく、治りにくい傾向もあります。

起炎菌の頻度と特徴

急性副鼻腔炎の初期はウイルス感染が主体ですが、数日後に細菌感染へ移行することが多いとされています。日本鼻科学会のガイドラインや全国サーベイランスの結果によると、主な起炎菌は以下の通りです:

起炎菌

検出頻度(目安)

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)

約30%

インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)

約30%

モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)

約20%

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)

約10%

これらの菌は、抗菌薬に対する耐性を持つこともあり、特にペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)やBLNAR型インフルエンザ菌の増加が問題視されています。

副鼻腔炎によって引き起こされる症状

急性副鼻腔炎の症状は、風邪と似ている部分もありますが、以下のような特徴があります:

  • 鼻づまり(鼻閉)
  • 黄色〜緑色の鼻水(膿性鼻漏)
  • 後鼻漏(鼻水が喉に流れる)
  • 頭痛、顔面痛、頬部の圧迫感
  • 咳(特に夜間)
  • 発熱(重症例では高熱になることも)

症状は副鼻腔の種類によって異なり、例えば上顎洞炎では頬の痛み、前頭洞炎では額の痛みが出ることがあります。症状が1週間以上続く場合や、強い痛み・発熱がある場合は細菌感染の可能性が高く、医療機関の受診が推奨されます。さらに、炎症が悪化すると中耳炎・気管支炎・咽頭炎・ぜんそくの悪化などを引き起こすこともあります。

急性副鼻腔炎の重症度スコア(成人)

急性副鼻腔炎では、症状と鼻腔所見を点数化して重症度を分類します。

スコア項目と配点

評価項目

内容

スコア

鼻漏

なし/軽度/中等以上

0/1/2

顔面痛・前頭部痛

なし/軽度/中等以上

0/1/2

鼻汁・後鼻漏(鼻腔所見)

漿液性/粘膿性少量/粘膿性中等量以上

0/2/4

※鼻汁と後鼻漏のうち、スコアが高い方を採用します。

合計スコアによる重症度分類

合計点

重症度

1〜3点

軽症

4〜6点

中等症

7〜8点

重症

このスコアは抗菌薬の使用判断や治療方針の決定に活用されます。軽症では抗菌薬を使わず経過観察、中等症以上では抗菌薬投与が推奨されます。

軽症(スコア1〜3)

  • 抗菌薬は原則使用せず、自然経過を観察
  • 鼻洗浄や蒸気吸入などの対症療法

中等症〜重症(スコア4以上)

  • 抗菌薬の投与(アモキシシリン、セフェム系、レスピラトリーキノロン系)
  • 鼻処置(鼻洗浄、自然口開大処置)(耳鼻科専門医での対応が必要)
  • 必要に応じて副鼻腔穿刺・洗浄(耳鼻科専門医での対応が必要)

当院で行える副鼻腔炎の治療法

当院では、重症度に応じて、以下のような治療を行います。

1. 内服薬治療

  • 抗生物質(細菌感染に対して)

  • 去痰薬(痰を切れやすく)

  • 抗アレルギー薬(鼻の粘膜の腫れを抑える)

  • 漢方薬(鼻づまりや後鼻漏の改善に)

慢性副鼻腔炎の場合は、数週間〜数か月にわたり治療を続ける必要があります。

2. 点鼻薬

  • ステロイド点鼻薬により鼻の炎症や腫れを抑え、排膿を促進

3. 生活指導

  • 鼻うがいや蒸気吸入で副鼻腔の洗浄

  • 部屋の加湿・マスクの着用で乾燥を防ぐ

  • アレルギー源(ホコリ・花粉)の回避

副鼻腔炎についてのよくある質問

Q1. 蓄膿症と副鼻腔炎は同じですか?
A1. はい、基本的には同じです。蓄膿症は慢性副鼻腔炎の俗称で、膿がたまっている状態を指します。

Q2. 市販薬では治らないのでしょうか?
A2. 軽い症状なら改善することもありますが、細菌感染がある場合は抗生剤が必要になるため、医療機関での受診をおすすめします。

Q3. 副鼻腔炎で咳が出るのはなぜ?
A3. 鼻水がのどに流れ落ちる「後鼻漏」によって、咳が出たり、気道が刺激されるためです。特に夜間に咳がひどくなる方は注意が必要です。

Q4. どのくらいで治りますか?
A4. 急性副鼻腔炎は1〜2週間で治ることが多いですが、慢性化している場合は長期の治療が必要になることがあります。

最後に

副鼻腔炎は、ただの「鼻風邪」と思って放置されがちですが、慢性化すると長引く不快な症状や呼吸の問題につながることがあります。当院では、鼻やのどの違和感・慢性的な咳などの症状に対応しております。鼻づまりが長引いている、いつも鼻水がのどに流れてくる、といった症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。必要に応じて、耳鼻科と連携した治療もご提案いたします。

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