僧帽弁狭窄症
「息切れがひどくなった」「ちょっとした運動でも胸が苦しい」「健診で心雑音を指摘された」──そんな症状がある方は、僧帽弁狭窄症という心臓の弁の病気が隠れているかもしれません。
僧帽弁狭窄症とは、心臓の左心房と左心室の間にある「僧帽弁」が硬くなったり、癒着したりすることで、血液の流れがスムーズにいかなくなる状態を指します。この病気は、特に高齢の方に多く見られ、息切れや動悸、心房細動、さらには脳梗塞のリスクにもつながるため、早期の診断と管理がとても重要です。
私たちゆうひ内科循環器クリニックでは、専門の心エコー機器と循環器専門医の診断技術を用いて、僧帽弁の状態を丁寧に評価し、必要に応じて薬物治療や専門機関へのご紹介を行っています。
僧帽弁狭窄症の症状について
僧帽弁が狭くなり、左心房から左心室へ血液が流れにくくなることで、肺に血液が滞り、さまざまな症状が現れます。
以下のような症状がある方は、注意が必要です。
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息切れ(特に運動時や横になるとき)
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動悸(ドキドキする感覚)
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疲れやすさ、倦怠感
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咳や痰(夜間に悪化することも)
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足のむくみや体重増加(心不全の兆候)
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心房細動(脈が乱れる)
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血栓による脳梗塞の発症
無症状の方でも心臓に負担がかかっていることがありますので、健診で異常を指摘された方は精密検査をおすすめします。
僧帽弁狭窄症の原因について
僧帽弁狭窄症の原因はさまざまですが、日本では以下の2つが主に見られます。
リウマチ性心疾患(かつて多かった原因)
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小児期のリウマチ熱による炎症で弁が硬くなり、数十年後に発症
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高齢者に多いタイプで、発症に気づかないまま進行することもあります
加齢や石灰化による弁の変性
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弁やその周囲の組織にカルシウムが沈着して動きが悪くなる
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現在はこちらのタイプが主流になりつつあります
このほか、先天性の弁異常や弁の手術後の再狭窄なども原因となる場合があります。
僧帽弁狭窄症の病気の種類について
僧帽弁狭窄症は、その狭窄の程度によって以下のように分類されます。
| 分類 | 弁口面積(目安) | 症状 |
|---|---|---|
| 軽度 | 1.5cm²以上 | 通常は無症状、経過観察で管理 |
| 中等度 | 1.0〜1.5cm² | 運動時の息切れや動悸あり |
| 高度 | 1.0cm²未満 | 安静時でも症状が出ることも。手術が必要なことが多い |
進行すると、心房の拡大によって心房細動や血栓形成が起こりやすくなります。特に心房細動は、脳梗塞の原因になることがあるため注意が必要です。
僧帽弁狭窄症の治療法について
僧帽弁狭窄症の治療は、症状の有無や重症度に応じて段階的に行います。
1. 検査と定期的なモニタリング
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心エコー検査(僧帽弁の開き具合や血流のスピードを評価)
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心電図(心房細動の有無)
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胸部レントゲン・血液検査(BNPなど)
これらをもとに、狭窄の程度や心臓への負担を確認します。
2. 内科的治療(軽度〜中等度の場合)
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利尿薬:肺うっ血やむくみの改善
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β遮断薬やカルシウム拮抗薬:脈を整え、心拍数をコントロール
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抗凝固薬(ワルファリンなど):心房細動がある場合、血栓を防ぎ脳梗塞予防
症状が軽い場合は、薬で症状を緩和しつつ、心臓の状態を定期的にチェックします。
3. カテーテル治療や手術(高度の場合)
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経皮的バルーン僧帽弁形成術(PTMC)
カテーテルを使って弁を押し広げる方法。リウマチ性の弁で有効なことがあります。 -
外科的手術(弁置換術)
弁が重度に変性している場合は、人工弁への置換が必要になることがあります。
当院では、重症化のリスクや治療のタイミングを見極めたうえで、適切なタイミングで手術可能な専門機関と連携をとりながら診療しています。
僧帽弁狭窄症についてのよくある質問
Q1. 心雑音があると言われましたが、自覚症状がありません。大丈夫ですか?
A1. 自覚症状がなくても、心臓に負担がかかっていることがあります。早めに心エコー検査を受けてください。
Q2. 僧帽弁狭窄症は自然に治ることはありますか?
A2. 残念ながら自然に治ることはありません。進行を防ぐためには定期的な診察と治療が必要です。
Q3. 手術が怖いのですが、しないといけませんか?
A3. すべての方が手術になるわけではありません。状態によっては薬でコントロール可能なこともあります。
Q4. 日常生活で気をつけることはありますか?
A4. 塩分のとりすぎに注意し、無理のない範囲で運動を行ってください。感染症や貧血も心臓に負担をかけるため、体調管理が大切です。
院長より
僧帽弁狭窄症は、知らず知らずのうちに進行してしまう心臓の病気です。特に心雑音を指摘された方や、運動時の息切れを感じる方は、心臓の弁の異常が隠れていることがあります。
私たちゆうひ内科循環器クリニックでは、心エコーを用いた精密な評価と、患者さまの状態に合わせた治療方針のご提案を行っています。循環器専門医としての経験を活かし、必要なタイミングで最適な医療をご案内いたします。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。
