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アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜にアレルゲン(抗原)が侵入することで起こるⅠ型アレルギー反応による疾患です。主な症状はくしゃみ、鼻水(特に水様性)、鼻づまりで、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

日本では、通年性(ハウスダストやダニなど)と季節性(花粉症)に分けられ、特に春先のスギ・ヒノキ花粉による症状が多く報告されています。近年では発症年齢の低年齢化も進んでおり、患者数が増えている疾患です。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会による全国調査では、**アレルギー性鼻炎の有病率は約49.2%**と報告されており、**スギ花粉症は38.8%**と特に多く、年々増加傾向にあります。

アレルギー性鼻炎の原因

発症には遺伝的素因環境因子が関与します。環境因子としては以下が挙げられます:

  • 室内環境(カーペット、布団などに潜むダニ)
  • 大気汚染(PM2.5など)
  • 食生活の変化(高脂肪・高タンパク)
  • 感染症の減少による免疫バランスの変化

また、都市部や暖かい地域ほど有病率が高い傾向があり、生活環境の影響も大きいと考えられています。

アレルギー性鼻炎の原因となるアレルゲンは多岐にわたります。代表的なものとその頻度は以下の通りです:

分類

主なアレルゲン

好発時期

備考

通年性

ダニ(ヤケヒョウヒダニなど)、ハウスダスト、ペットの毛・フケ

一年中

室内環境に左右されやすい

季節性

スギ花粉、ヒノキ花粉

春(2~4月)

日本ではスギ花粉が最多

季節性

イネ科(カモガヤなど)、キク科(ブタクサ、ヨモギ)

初夏~秋

地域によって飛散時期が異なる

その他

カビ、昆虫、職業性抗原(小麦粉、羽毛など)

通年または職場環境

特定職業に多い

特にスギ花粉は日本の森林の約18%を占めるスギ人工林に由来し、関東・東海地方では飛散量が多く、患者数も多い傾向があります。

アレルギー性鼻炎による症状

主な症状

  • くしゃみの連発
  • 水のような鼻水
  • 鼻づまり(鼻閉)
  • 目のかゆみや涙目(合併することも)
  • 集中力低下、睡眠障害、QOLの低下

症状はアレルゲンとの接触後すぐに現れる即時型反応と、数時間後に起こる遅発型反応があり、慢性的な鼻粘膜の過敏性亢進を引き起こします。

アレルギー性鼻炎によって引き起こされる病気

アレルギー性鼻炎を長期間放置すると、以下のような疾患や不調の原因になることがあります。

  • 副鼻腔炎(蓄膿症):鼻腔の奥に膿がたまり、頭痛や後鼻漏を起こす

  • 睡眠障害・いびき:鼻づまりが睡眠の質を下げる

  • 集中力低下・学力低下:子どもでは授業に集中できないケースも

  • 気管支喘息の増悪:アレルギー体質が強い方に多い

アレルギー性鼻炎は、鼻の症状にとどまらず、日常生活の質(QOL)を大きく左右する疾患です。

アレルギー性鼻炎の検査について

アレルゲン検査(血液検査)

  • どのアレルゲンに反応しているかを特定し、治療の方向性を明確にします。

  • 検査結果をもとに、生活改善や予防対策のアドバイスも行います。

アレルギー性鼻炎の処置や治療法

治療の柱(ガイドラインに基づく5本柱)

  1. 抗原の除去・回避
    • マスクや眼鏡の着用
    • 空気清浄機の使用
    • 花粉情報のチェックと外出制限
  2. 薬物療法(当院で対応可能)
    • 第2世代抗ヒスタミン薬(眠気が少ない)
    • 抗ロイコトリエン薬(鼻づまりに有効)
    • 鼻噴霧用ステロイド薬(局所で強力な抗炎症作用)
    • 点鼻用血管収縮薬(短期使用に限る)
  3. アレルゲン免疫療法(根本治療:耳鼻科やアレルギー科専門医での対応が必要)
    • 舌下免疫療法(SLIT):スギ・ダニに対応
    • 皮下免疫療法(SCIT):注射による治療
    • 治療期間は3~5年が目安で、効果は長期持続
  4. 手術療法(重症例や形態異常を伴う場合:耳鼻科専門医での対応が必要
    • 下鼻甲介粘膜焼灼術
    • 鼻中隔矯正術など
  5. 患者とのコミュニケーション
  • 症状の記録(アレルギー日記)
  • 治療方針の共有と継続支援

アレルギー性鼻炎についてのよくある質問

Q1. 鼻炎と風邪の違いは何ですか?
A1. 風邪は数日で治りますが、アレルギー性鼻炎は長引いたり繰り返すのが特徴です。また、発熱や喉の痛みはあまり見られません。

Q2. 子どもでも薬は使えますか?
A2. 年齢や体重に応じた薬をご用意できます。眠気の少ない薬もありますので、ご安心ください。

Q3. 一年中鼻炎があるのはなぜですか?
A3. ハウスダストやダニなどの通年性アレルゲンが原因の可能性があります。一度アレルゲン検査を行うことをおすすめします。

Q4. 治す方法はありますか?
A4. 完全に治すことは難しいですが、症状を抑える治療や体質改善の一環として「舌下免疫療法」などの選択肢もあります。ご希望があれば専門医に紹介しますので、ご相談ください。

最後に

アレルギー性鼻炎は、命に関わる病気ではありませんが、集中力や睡眠の質を低下させるなど、日常生活に大きな影響を与えます。仕事や勉強が手につかない、薬を飲んでもすぐに戻ってしまうといったお悩みを抱えていませんか?当院では適切な診断と治療でコントロールを目指しており、必要時は専門医への紹介も行っております。お気軽にご相談ください。

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